五目豆や五目ラーメンなど、「五目」とつく料理は世の中にたくさんありますよね。
ではその「五目」の意味ってみなさんご存知でしょうか?
五種類の材料が入っているからと思いきや、四種類だったり六種類だったりして首をかしげた経験はありませんか?
実は「五目」には古代中国から発達してきた『五行説』に深いかかわりがあるようなのです(諸説あり)。
五目の由来は中国の「五臓を大切にする食材を食べる」ことから(諸説あり)
中国では昔から「食薬同源」「食医同源」の考えとともに、中医薬学や薬膳料理が発展してきました。薬膳は個々の人ごとに異なる、体質や臓器に適した食物を取ることが大切であると考え、季節や体質、体調に合わせた食材を組み合わせます。
薬膳で最もよく知られているのが「陰」と「陽」ではないでしょうか。
食物には体を冷やす「陰」の食物と体を温める「陽」の食物があり、冬には体を温める「陽」の食物を食べるなど季節に合わせて食物を選ぶことが大切とされています。
またそれらをさらに五つの種類に分けたのが「五行説(ごぎょうせつ)」で、自然界に存在するものを「木」「火」「土」「金」「水」の五つの性質に分けて考えます。
これら五つのバランスを整え、人体においても全体のバランスが取れた健康体を目指すために取り入れられています。
そして五つのそれぞれの性質には、呼応した人体の「五臓」があるのです。
『木(もく)』
樹木の枝や葉が伸びる様、成長や発育を表す。五臓は「肝」
『火(か)』
燃え盛る炎のごとく気持ちや状態が盛んな様子を表す。五臓は「心」
『土(ど)』
植物の芽が地中から発芽する様子、育成や保護を表す。五臓は「脾」
『金(こん)』
地中に光り輝く鉱物や金属のように堅固、確実な性質を表す。五臓は「肺」
『水(すい)』
下方に流れる性質と寒冷期に凍って個体になる性質を持ち、冷えや蓄えを表します。五臓は「腎」
このように自然の性質と人体の性質を重ねて考えることで、足りないものや多すぎるもののバランスを整えることが薬膳の考えであり、五臓を大切にするために五行の性質をまんべんなく取り入れることが「五目」の由来となっているのです。
五目の種類はやっぱり五種類だけ?実は数じゃなくて色を意識するんです
さて、薬膳の考えでは『五』に重要な意味があることが分かりましたね。実は薬膳の世界ではその他にも『五味(ごみ)』や『五色(ごしょく)』といったものがあります。言葉の通り五つの味と、五つの色という意味です。
五味は「酸」「苦」「甘」「辛」「鹹(かん)“塩辛い味”」を表し、
五色は「緑」「赤」「黄」「白」「黒」を表します。
それぞれが五行の「木」「火」「土」「金」「水」に良いとされるものなので、冷えを感じたら黒いものを多めにとるなど、食生活に取り入れてみるといいでしょう。
このように色や味にはさまざまな性質の栄養があるため、色んな色や色んな味のものをまんべんなく摂ることが食生活のバランスを整えるには大切です。
よく「食卓をカラフルにしましょう」と言われますよね。
あれはそういう意味が込められていたということなのですね。
『五目』には材料の数ではなく、五種類の栄養、バランスの良い、といった意味が込められているのです。
まとめ
五目豆や五目ラーメンの『五目』とは五つの食材で作った、という意味ではなく「五つの性質を持つ栄養バランス満点の料理ですよ」という意味だったのですね。今回は『五目』と、『五行説』の関係についてお話してきましたが、実は中国古来の【五】はこれだけではありません。気になった方はぜひ調べてみてはいかがでしょうか。
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