毎年秋になると「文化功労者」と「文化勲章」の発表があります。
どちらも似たような響きの言葉ですが、いったいどんな違いがあるのでしょうか?
また、年金などの褒賞がもらえるのかどうかも気になりますね。
今回は「文化功労者」と「文化勲章」の違いについてお話していきます。
2つのうち最初にできたのは「文化勲章」で、昭和12年(1937年)に当時の内閣総理大臣であった廣田弘毅によって制定されました。
科学技術や芸術などの文化の発展や向上にめざましい功績のある約5名ほどが毎年選ばれています。
今までに川端康成(小説)や棟方志功(版画)、十七代目中村勘三郎(歌舞伎)、小澤征爾(指揮)、高倉健(映画)などが授与されました。
その後昭和26年(1951年)に、日本において文化の向上発達に関し、功績が顕著なものに対して贈られる「文化功労者」の法が定められることになります。
格としては「文化勲章」の方が上ですが、こちらは文化勲章よりも多くの15名ほどが毎年選ばれ、文化勲章に次ぐ栄誉となっています。
なぜ、「文化勲章」だけでなく、新たに「文化功労者」の法が定められることになったのか。
それには日本国憲法が関係していたのです。
文化功労者には年金が支給される!文化勲章との違いは何?
実は、「文化勲章」を授与された人には年金や賞金など、金品の副賞はありません。これは日本国憲法第14条により、“栄誉、勲章その他の栄転の授与は、いかなる特権も伴はない”とあるため、勲章への褒賞金の支給が禁止されているからなのです。
一方、「文化功労者」に選ばれた人には生涯年金が支給されることになっています。
その額は政令で定められている年間350万円(現在)です。
また「文化勲章」受章者は原則として前年までの「文化功労者」の中から選ばれるようになっています。
つまり、「文化功労者」の法を定めたことで、文化の向上発展に貢献した人に褒賞が与えられる仕組みが作られたということなのですね。
文化功労者になるにはどうすればいいの?選考方法も知りたい
「文化功労者」は、大学教授や作家など各ジャンルの専門家で構成される“文化功労者選考分科会”が選んだ候補者の中から15名ほどを、文部科学大臣が選ぶことになっています。一方で「文化勲章」は“文化功労者選考分科会”の意見を聞いて「文化功労者」の中から文部科学大臣が推薦をし、閣議によって決定されます。
毎年11月3日の文化の日に「文化功労者」、「文化勲章」ともに授章者が発表されます。
「文化功労者」は都内のホテルで顕彰式が行われ、「文化勲章」は皇居で親授式(天皇陛下から直接授与される式典)が行われます。
「文化功労者」の選考に関して明確な基準はなく、どのような話し合いで決められているのかは謎ですが、近年は黒柳徹子(女優)、橋田寿賀子(脚本)、川渕三郎(サッカー)、佐々木毅(政治学)など、芸術や学問はもちろんスポーツ、映画などの幅広い分野から受章者が選ばれています。
「文化功労者」に選ばれたいなら、何か専門の分野で日本を代表するぐらいの大きな功績を残さないといけないということなのですね。
生涯その人が亡くなるまで、毎年350万円が支給されると考えるととても大きな金額ですが、それだけ大きな功績を残したと考えると納得です。
まとめ
「文化功労者」と「文化勲章」には、様々な違いがあることが分かりましたか?「文化勲章」受賞者に褒賞を与えられるように作られたのが「文化功労者」であり、「文化功労者」の中から「文化勲章」授章者が選ばれます。
「文化功労者」とは「文化勲章」を受賞した人に褒賞を与えるために作られた文化勲章年金の機能を持つ制度なのですね。
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